令和4年度第1回福祉講座 演題「障害者総合支援法改正法について」 講師:厚生労働省 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 周藤方史(しゅうとう まさし)氏 周藤/皆さん、こんにちは。 厚生労働省の周藤と言います。 皆様におかれましては、平素より厚生労働行政にご理解、ご協力いただきありがとうございます。 自己紹介を簡単にさせていただきます。 役職名は、社会参加活動支援推進官といいまして、情報コミュニティ法が制定されたこともございまして、障害者のICT機器に関することを主な業務としています。ICTサポートセンターという機関があるのですが、設置されている自治体や未設置の自治体もあることから全国的に設置できるように現状の課題等整理しています。 また、障害福祉専門官も併任しており、視覚障害者の同行援護カリキュラムの改正について、昨年度厚労科研においての調査研究を踏まえ、検討を進めているところです。私は、現在、厚生労働省に勤めておりますが、元は福祉の現場にずっといました。 大学卒業後、最初は知的障害者の入所更生施設、現在の施設入所支援に当たりますが、措置の時代から福祉の分野にかかわっています。そこから所沢にあります国立障害者リハビリテーションセンターに移り、ソーシャルワーカーとして勤めていました。現在は、厚生労働省で勤めてさせていただいています。さて、本日いただいたお題は、障害者総合支援法改正法についてとなります。行政資料は、細かく、分かりにくいところもあると思いますが、分かりやすく説明するようには努めますが、もし聞き取れない、分からないところがあれば、改めて資料を見ていただくなり、佐久間さんを通じてでもいいので、後で質問をいただければ、お答えします。 スライドの2ページ、障害福祉保健施策の歴史についてご説明します。 障害福祉施策は、障害者総合支援法に定めるサービス中心に進めています。 障害者総合支援法の前は障害者自立支援法ですが、それ以前は身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法と、障害ごとに分かれて、個々の法律においてサービスも定められていました。当時は、措置制度といいまして、利用者の皆さんがサービスを選択するという現在の仕組みとは異なり、福祉サービスを利用したい人が行政の窓口に相談して、行政がサービスを決めていました。それから、支援費制度といいまして平成15年に利用契約という考え方が整理され、障害者自立支援法を経て、現在の障害者総合支援法となっています。 平成25年度には、これまでサービスの対象でなかった難病の方も障害福祉サービスを利用できるよう改正法を施行しています。 続いてスライドの3ページ、障害者総合支援法における給付や事業を表した図です。サービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項、社会活動や介護者の有無、居住などの状況を踏まえて、個別に支給決定が行われる障害福祉サービスと市町村の創意工夫で利用者の方々の状況によって柔軟に実施できる地域生活支援事業に大別されます。最近、加わったサービスは、訓練等給付にあります自立生活援助や就労定着支援になります。 続いてスライド4ページ、障害者の数です。このスライドは、身体障害者、知的障害者、精神障害者の3区分について、厚生労働省による、生活のしづらさに関する調査、社会福祉施設等調査、患者調査などで推計された数値です。「しづらさ調査」は、平成28年が一番直近のもので、5年ごとに調査しています。令和3年度に実施する予定でしたが、新型コロナウイルスもあり、調査は延期することになり、今年度、「しづらさ調査」を実施することになっています。障害者の総数は、964.7万人で、人口の7.6%に相当します。身体障害児者は合わせて436万人、知的障害児者は109万4000人、精神障害の方は419万3000人です。 人口1000人当たりで見ますと、身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は33人です。複数の障害を併せ持つ方もいるので、単純な合計にはなりませんが、国民のおよそ7.6%がなんらかの障害を有していることになります。また、障害の種別に多少の違いはありますが、在宅で生活されている方は多いです。 続いてスライド5ページ、障害福祉サービス等の体系について。介護給付と訓練等給付をサービス内容や利用者数、事業所ごとに表しているスライドです。障害福祉サービスは、介護の支援を受ける場合は介護給付、訓練等の支援を受けるには訓練等給付となります。サービスは期限のあるものと、ないものがありますが、有期限であっても必要に応じて更新・延長は一定程度可能です。これについては福祉サービス受給者証の支給決定をする市町村の判断が必要です。このようなサービスを利用する際には利用者一人ひとりの個別支援計画書が作成されまして、利用者の目的に沿ったサービスが提供される仕組みになっています。例えば、常時介護が必要な方は日中活動の生活介護を利用し、住まいの場として施設入所支援を利用するなど、複数のサービスを組み合わせて利用することができます。 スライドの6ページ、障害児の支援、相談支援に係る障害福祉サービスの体系です。障害児を対象とした給付は、通所系、訪問系、入所系に分かれています。通所系でいえば集団への適応を支援する、児童発達支援や学校の授業終了後等に交流支援などを行う放課後等デイサービスなどがあります。障害者と障害児で共通するサービスは、介護給付の訪問系の居宅介護や同行援護、行動援護といったサービスがあります。相談支援は、障害者総合支援法の対象であれば計画相談支援、障害者児童福祉法の対象ですが、障害児相談支援となります。 スライドの7ページ、サービスを利用した利用者数の推移です。スライド右下、身体障害の方は22.3万人、知的障害の方は43万人、精神障害の方は28.1万人の方がサービスを利用しています。この伸び率、スライド中央にありますが令和3年1月から4年の1月の間で、 6.6%です、上のグラフを見ても増加傾向ということが分かります。 スライド8ページ、このスライドは障害福祉サービス等のサービス種類別利用者数の年度月平均です。平成24年度と令和2年度を比較しており、単位は千人です。障害者の方であれば青のところ、施設入所支援が減っていることや就労系のサービスが増えています。その他、スライドの一番右ですが、ここに記載のサービス、同行援護や行動援護、療養介護などがそれに当たります。 スライドの9ページ、近年の障害福祉サービス改正の経緯です。令和3年度は3年に1回の報酬改定がありました。主な内容は、障害者の重度化、高齢化を踏まえた地域生活の支援、質の高いサービスを提供するための報酬体系の見直し。効果的な就労支援などを踏まえたきめ細やかな対応、医療的ケア児への支援などの推進、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進、感染などへの対応力強化、持続可能性の確保と適切なサービス提供を行うための報酬との見直しです。次回の改定は令和6年度ですので、それに向けて議論をしているところです。 スライド11ページ、障害福祉の動向に移ります。障害福祉制度関係の見直しスケジュールということで平成30年の4月の改正法の見直し規定を踏まえ令和3年3月以降に、社会保障審議会障害者部会において議論しました。報告書のとりまとめは今年の6月13日に行いましたが、それまでに46の関係団体の皆さまのヒアリング、各論点に関する議論、ヒアリング後には令和3年末までに計13回にわたり障害者総合支援法等の施行状況や施行の見直しに関する議論を行ってきました。この報告書にもとづいて見直しの内容に応じた法改正であったり、報酬の改定に関わる検討、予算事業の実施・運用改善などに対応する取組を順次進めているところです。日身連さんの会長さまには部会の委員としてご協力いただき、この場を借りて感謝申し上げます。 スライド12ページに移ります。細かい資料で恐縮です。障害者総合支援法改正法の施行後3年間の施行状況を踏まえて、今回の見直しの基本的な考え方については3点あります。 1つが、障害者が希望する地域生活を実施する地域づくり、2つ目が、社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応、3つ目、質の高い障害福祉サービスの実現、 この3つを柱に整理をしています。こうした基本的考え方に沿って、当事者中心に考える視点を持って、どのように暮らしどのように働きたいかなど障害者本人の願いなどをできる限り実現していけるように、意思決定の支援に配慮しながら支援の充実を図っていき、その際には、障害者自身が主体であるという考え方を前提に行政や支援者は、共に生きる社会の意味を考えながら当事者の言葉や発言を受け止めて当事者の目線を中心として取り組んでいくことが重要とされたところです。 その下、各論点について、こちらは後ほどのスライドでピックアップしてお伝えしますので、ざっと概要だけ、読み上げます。 各論について、 1.障害者の居住支援2.障害者の相談支援について スライドの13ページ、3.障害者の就労支援について4.精神障害者等に対する支援について スライドの14ページ、5.障害福祉サービスの質の確保・向上について6.制度の持続可能性について7.居住地特例について スライドの15ページ、8. 高齢の障害者について9.障害者の虐待防止について、10.地域生活支援事業について、11.意思疎通支援について、12.療育手帳のあり方について、13.医療と福祉の連携について、が、各論です。 スライド17ページ、障害者の居住支援についてご説明します。障害者の地域支援施策については、障害者が地域で安心して暮らしていけるように継続的な見守りや相談等の支援を受けられる体制整備を図っていくことが必要であるため、自立生活援助・地域定着支援が必要な方の状態像を明らかにして、その状態像を踏まえた支援の頻度などを調査することが必要とされました。例えば、対象者の状況に応じた適切な支援ができるように、自立生活援助の報酬を対象者の状況に応じて設定するとともに、ICTの活用や効果的な支援、また、継続的な支援、必要なものの標準利用機関や更新の在り方について検討することとしています。 スライド18ページ、地域生活支援拠点等について。地域生活の安心の確保を図るために、緊急時の短期入所の受け入れ体制整備を図って、入所施設や精神科病院における地域移行のニーズと働きかけの実施、地域移行支援や体験利用へのつなぎなどの地域移行の推進に向けた役割を担うことが重要とされています。都道府県の役割は、スライドの下の方に、後方的支援として、整備状況の把握や共有、未整備自治体への働きかけなどがその役割とされています。整備の主体は市町村で、市町村は支援者の協力体制の確保、課題などの把握や活用。必要な機能の実施状況の把握などです。スライドは、イメージ図になります。 スライド19ページ、地域生活支援拠点などです。令和3年4月1日時点の数値ですが、地域生活支援拠点などの数は、全国で1741の市町村のうち、921で、52.9%が整備済みとなっています。Aの整備類型について、面的整備型が810市町村で87.9%、面的整備型とは、地域における複数の機関が分担して機能を担う体制のことです。多機能拠点整備型は、地域に実情に応じた整備を行うことを言います。多機能拠点整備型は、37市町村で、4%、多機能拠点整備型と面的整備型は、74市町村で割合としては8%です。 スライド20ページは、グループホームの概要です。 30年ほど前、グループホームを制度化した当時は、主に中・軽度の障害者の支援を想定していました。しかしながらその後、入所支援や病院からの地域移行が進むとともに、グループホームの入居者自身の重度化、高齢化に対応した支援の必要性、さらに親の高齢化等に対応した親元からの自立のサポートなどの必要性が年々高まってきました。こうした中で、グループホームは、住宅地などで地域との交流の機会が確保される立地にあること、より家庭に近い居住環境であることから、障害者の地域生活において重要な選択肢の一つとなっています。今後は、社会のニーズの変化に対して、より重度の障害者を含め、安心して継続的に進むことができるよう、その役割を担うとともに、地域移行や親元からの自立をサポートして、障害者の希望する暮らしの実現という役割を担うことが期待されています。 スライド21ページ、これはグループホームの見直しの方向性です。 現行制度上、生活能力の維持、訓練や支援を行う宿泊型自立訓練などのサービスがありますが、現状において、グループホームに一人暮らしを希望する人が一定数存在して、グループホームで地域生活を送りながら一人暮らしなどに向けた支援を実施している状況もあり、より家庭に近い環境であるグループホームで地域生活を送りながら支援を提供することによる効果も見込まれると考えられます。 グループホームにおける一人暮らしを希望する人の支援の充実の検討にあたっては、障害者のライフステージやニーズに応じて、安心してグループホームを利用できる観点を踏まえる必要があり、現行のグループホーム利用者で本人が一人暮らしなどの希望があった場合、希望実現に向けた支援、家事や金銭管理などの支援を個別に実施することを報酬上評価するということを検討しています。新たな類型としては仮称ですが、移行支援ホームとして病院や施設からの支援移行、親元からの自立希望者など、ひとり暮らしの希望がある方々に対して専門職のサービス責任者を配置してピアサポーターを活用しながら専門的に支援を行うことを位置づけるということで検討しています。 スライドの22、グループホーム見直しのイメージです。 本人の希望で現行のグループホームか、新たな類型、先ほど移行支援ホーム(仮称)とお伝えしましたが、その選択をすることで、希望者に対するひとり暮らしの支援の充実を図ることとしています。新たなグループホームのサービス類型の方向性について、賛成の意見がある一方、経営の難しさ、成果主義に陥るといった懸念があります。このような意見も踏まえて現行のグループホームの支援の充実を図るとともに事業所指定や人員配置、新たなグループホームのサービス類型の細分については、先行事例や地方における事業経営面における課題なども踏まえて、グループホームにおける重度障害者の必要な支援を検討して、当事者の声を丁寧に聞きながら地域の課題も抽出して検討を進めることにしています。 続いて障害者の相談支援についてです。 スライド24、こちらが現行の相談支援の体制になります。 相談支援は、障害者等が希望する暮らしを送るために重要であり障害者自立支援法より法定化されて以降も基幹相談支援センター、地域相談支援、自立支援の相談、計画相談支援の全利用者への拡大、自立支援協議会の法定化を行い、利用者数や事業所数、相談支援専門員の数ともに増加傾向にあります。一方で、人員の不足やさらなる質の向上を求める声があるほか地域生活の支援を推進するには各相談事業のいっそうの強化を図る必要があるとされています。 市町村が行う、市町村障害者支援事業は必須事業としてすべての自治体で実施されていますが、その内容や規模は多様で、地域による特性、差がみられています。基幹相談支援センターの設置も増加傾向ですが、設置市町村は半数程度、令和3年4月時点で50%にとどまっているほか、設置済みの場合でも中核的な役割を担う役割として機能が十分果たされていないところも存在しています。未設置のところでは、人材育成など地区内で実施されていないこともあります。 自立支援協議会については、ほぼ全ての市町村及び都道府県に設置されていますが具体的課題を検討する部会などはさまざまで、協議会自体が形骸化しているのではないかと指摘する声があります。 スライド25、相談支援の流れになります。障害者の生活に関する様々な課題、将来の暮らしに関することについて、障害者や家族などから相談を受けて必要な提供やアドバイスを行い、市町村や障害福祉事業所などと連絡調整などを行うことが相談支援事業所の役割です。障害児・者が福祉サービスを利用したいというときに必要となる、障害福祉サービス等利用計画を事業者等にも依頼して作成していくことになります。その計画に基づいてサービスが適切に提供されているか、利用者本人の意向が変わったのか等を定期的にモニタリングし、必要であれば計画の見直しを実施する流れになっています。 スライド26、現行の基幹相談支援センターの役割のイメージです。 地域における中核的な役割を果たすことが基幹相談支援センターに求められる役割になります。基幹相談支援センターについては市町村の障害者相談支援事業にかかる交付税措置に加えて基幹相談支援センターなど機能強化事業の補助対象となっていますが、特に実施すべき業務内容を地域の相談支援センター体制強化の取り組み及び地域づくりと整備することを踏まえ、その実効的な実施に資するよう基幹相談支援センターなど機能強化事業の見直しを含め地域おける中核的な役割を果たすための方策について検討する必要があるとされています。 スライド27、設置状況の図です。 全体でみれば設置数は増えていますが、下のグラフ、都道府県別では地域格差があることが分かると思います。中央の赤のラインが50%の設置率です。そこを下回る自治体も少なからずあることが現状としてあります。 スライド28、自立支援協議会の概要です。 協議会については、障害者総合支援法に基づき地域の関係者があつまり地域における障害者等の支援体制における課題を共有し関係機関の緊密化を図り、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行い、障害者などへの支援体制の整備を図ることを目的に設置する機関です。協議会が期待する役割を果たすためには、協議会において個別事例を通じて明らかになった障害者、家族、地域の課題を関係者が共有しその課題を踏まえて地域の障害福祉サービスをはじめとしたサービス基盤の開発・改善の取組を着実に進めていくことが必要になります。設置状況は、市町村1687自治体で設置率は96.9%、都道府県はすべてで設置されています。 スライド29、これは市町村協議会の主な機能を表したスライドです。スライド右、構成イメージ例です。協議会の下に、就労支援部会等、地域の課題に応じた部会を設置して、部会において課題を検討していくことが、そのイメージです。 障害者の就労支援に移ります。 スライド31、障害福祉サービスから一般就労、一般企業へ就職した人の数を示した図です。 障害者総数は、約965万人、18歳から64歳までの在宅者が377万人です。一般就労への移行の現状は、特別支援学校から一般企業への就職が約30.7%。就労系障害福祉サービスが約32.1%です。就労系福祉サービスから一般就労へは年々増加しており、令和2年度は1.9万人で、前年の令和元年度からは少し減少していますが、これは、新型コロナウイルス感染症の影響もあったかと思います。 スライド32、就労系の障害福祉サービスです。 現在の障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスとして位置付けられているのは、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、就労定着支援です。 現状と課題ですが、就労系障害者福祉サービスの利用を希望する障害者の就労能力や適性を客観的に評価し、それを本人の就労に関する選択や具体的な支援内容に活用する手法などが確立されていないため、障害者の就労能力や一般就労の可能性について障害者本人や、障害者を支援する者が十分に把握できず、適切なサービスに繋げられていないという課題があります。就労系障害福祉サービスについては、企業等で雇用されることを目指すものや、すぐに企業などで就職や雇用されることが難しい方には、知識や能力向上のための訓練等を実施するという目的から原則、一般就労中の利用は想定していません。一方、障害者の多様な就労ニーズを踏まえ、一般就労への移行の促進や雇用の継続を図るためには、一般就労中企業における支援と就労系障害福祉サービス事業所による支援の連携を強化する必要があります。障害者の就労支援に携わる人材については、雇用福祉分野の基礎的な知識やスキルが不十分であったり実践的な研修の機会が限られている。専門人材の不足している状況です。こういったことを踏まえて、一般就労の定着のためには、雇用福祉施策、それぞれの分野における地域の支援機関の連携を強化する必要があります。 スライドの下、利用者数などは令和3年4月のデータとなっています。先ほどの障害福祉サービスのスライドで、令和4年1月というデータを示していますので、数についてはそちらでご確認ください。 スライド33、この図は、就労を希望する障害者の支援の創設、仮称として、就労選択支援としています。その就労継続支援B型事業所のケースです。 就労系の福祉サービスは、原則、一般就労中の利用は想定していません。一方で、障害者の多様な就労ニーズを踏まえて、一般就労中の企業における支援や障害福祉サービス、就労系の事業所との連携強化の必要性があり、障害者本人が一般就労や 就労系障害福祉サービス事業所などを自ら選択することや、就労開始後の配慮事項の整理等を通じて本人の能力や適性、地域社会や地域の事業所の状況に合った選択ができることを目指して、必要な支援を行う新たなサービス(就労選択支援(仮称))を創設することを検討しています。 スライド34、これはA型事業所のケースです。 A型のケースも概ね流れは一緒です。新たにA型を利用する人については、一定の例外的な場合、例えばA型利用開始後も一般就労に向けた就職活動を継続する場合などには、A型の利用開始後の一定期間、例えば半年であったり1年以内に就労アセスメントを活用して支援の利用を選択できることを想定しています。 スライドの35、その効果です。例えば、障害者が希望する一般就労の実現を多様な手法で支援するために、企業等で働きはじめに週10〜20時間未満程度から段階的に勤務時間を増やしていく場合や休職から復職を目指す場合において、就労系障害福祉サービスの一時的な利用を法令上可能とすることで、通い慣れた就労系事業所から引き続き就労することで、生活リズムを維持したうえで就労できる、そういった効果が得られるのではないかということです。 スライド36、効果のAです。 休職から円滑な復職のための就労系障害福祉サービスの一時的な利用になります。本人が復職を希望して、かかりつけ医にも復職を前提としたサービスを受けることが適当と判断された障害者がその対象像になります。段階的な通所や生産活動を通じて生活リズムなど改善により、円滑な職場復帰の促進につながると期待されています。 スライド37、支援のイメージになります。 雇用される障害者の定着を図る観点から、例えば就労定着支援事業においては最大3年間の支援期間内における就労定着を図るだけでなく、この事業による生活面の支援がなくても、本人や企業などと現状や方向性を確認しながら本人の障害特性に応じた合理的配慮を検討することや、就労定着支援事業の利用前後の期間等について定着に向けた支援を担う、就労移行支援事業や、障害者就業・生活支援センターと事業との役割の違いを踏まえて連携することや、現行の仕組みでは就労移行支援事業等が支援することとしている一般就労移行からの6ヶ月間において、就労定着支援事業の支援の実態について把握を進めた上で検討することとしています。 続いて精神障害者等に対する支援に移ります。 スライド39、精神疾患を有する総患者数の推移について、精神疾患を有する患者は増加傾向にあり、平成29年で約420万人となっております。 スライド40、入院形態別患者数の推移になります。スライド右側の折れ線グラフ、任意入院と医療保護入院に分けて記載していますが、任意入院は減少傾向、医療保護入院、患者に代わって家族などが入院に同意する入院は、増加傾向です。 スライド41、包括的なマネジメントによるシステム構築です。誰もが安心して自分らしく暮らしていけるよう、精神障害の有無や程度にかかわらず、医療や介護、住まい、社会参加などが包括的に確保され精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築するため、令和3年3月に、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会において報告書が取りまとめられました。精神疾患は誰もが経験する可能性がある身近な疾患となる中、地域の精神科医療機関が果たすべき役割、自治体が実施する相談、協力、協議の場への参画、医療の実現、精神科以外との受診など多岐にわたる一方で、精神科医療への理解が進んでいるとは言い難い状況にあり、地域包括ケアシステムの構築が大変重要となっています。 スライド42、こちら法律に基づく入院体系についてのスライドです。記載のとおりなので飛ばします。 スライド43、平成25年の精神福祉法改正による医療保護入院の同意要件の見直しです。 医療保護入院制度の必要性については、これからの精神保健医療福祉の在り方に関する検討会の報告書によると、精神障害に対する医療提供はできるかぎり入院治療に頼らない治療的な介入を行うことが原則であり、入院が必要な場合についてもできる限り本人の意思を尊重、任意入院を行うことが極めて重要とされました。また、医療保護入院の同意者について、現状では、家族等、市町村長以外の同意者を想定することは現実的には難しいため、家族等同意や市町村長の同意については、現行の仕組みを維持することになるものと考えられています。改正前と改正後は記載のとおりです。 障害福祉サービス等の質の確保・向上についてに移ります。 スライド45、障害福祉サービス等の質の確保・向上については、これまでも人員配置や設置・運営に関する基準の設定、都道府県等による指導監査、障害福祉サービス等報酬による評価、情報公開制度等により実施をしてきました。 このような取り組みを踏まえ、障害福祉サービス等の利用者の多様化や障害福祉サービス等を提供する事業者の増加に対応し、利用者の個々のニーズに応じた良質なサービスを提供する観点から、事業者が提供する障害福祉サービス等の質の確保・向上をよりいっそう図ることが重要とされます。 スライド46です。障害福祉サービスの質の評価については指定基準において提供するサービスの質の評価を行い、常に改善を図らなければならないとされています。また、社会福祉法に基づく福祉サービスの第三者評価については、障害福祉分野での受審実績は限られているという現状があります。障害福祉サービスの情報公表制度については、事業者はサービス等の内容や運営状況を都道府県知事に報告すること、そして都道府県知事等はその内容を公表することが義務づけられていますが、全ての事業者の情報公表には至っておらず、その記載内容にはばらつきがある現状です。プロセス指標やアウトカム指標は、利用者に対するサービス内容そのものを一層評価することに資すると考えられるため、今後の障害福祉サービス等報酬改定の検討等に当たっては、データの十分な蓄積・分析を図りながら、ストラクチャー、プロセス、アウトカムの3つの視点を持って、障害福祉サービス等の目的・特性も踏まえ、プロセスの視点に基づく報酬の評価をより充実させつつ、アウトカムの視点に基づく報酬の評価についても、こうした手法が適切なサービスを整理した上で、この3つの手法がきちんと運用できるように進めていくことが必要とされています。 スライド47、障害福祉サービスの情報公表制度です。障害福祉サービス等情報公表制度については、利用者がサービスの選択ができることを目的に創設されたものです。利用者にとって分かりやすく、良質な事業者の選択ができるよう、公表システムの記載内容を検証し、わかりやすい記載内容を抽出した上で、自由記述欄を中心に記入例や実際の記入内容を例示として示すなど、記載内容のばらつきの是正をできるような取組を進め必要があります。 制度の持続可能性の確保に移ります。 スライド49ですが、これは事業の紹介となります。障害福祉分野のICT導入モデル事業です。ICT活用やロボット導入により、業務効率化や職員の業務負担軽減を推進することができるとされていることから障害福祉分野における施設や事業所に対するICT活用やロボット導入の経費等の支援について、1施設・事業者あたり100万円を上限とし、補助割合は、国が3分の2、都道府県や指定都市等が3分の1で、補助することとしています。補助対象は、タブレット端末やスマートフォン等のハードウェアです。なお スライド51、この表はICTを導入した項事例です。スライドの中ほどにICT導入前後の業務時間の比較があります。ICTを導入して、残業時間が減るなどの効果が見られていることが分かるかと思います。 スライド51、障害福祉分野の職員の推移です。障害福祉サービスの利用者が増えていることに伴い、福祉・介護職員の数は、平成18年から元年度の間で2倍になっています。 スライド52、有効求人倍率のスライドです。赤い折れ線グラフのところになりますが、障害福祉関係分野では増加傾向です。障害福祉サービス等従事者を含む関係職種の有効求人倍率は、全職種より高い水準で推移していることがわかります。 続いて、スライド53、これまでの障害福祉人材の職業改善に関わる取組です。 令和元年10月、Eのところですが、障害福祉サービス等報酬改定においては、新しい経済政策パッケージに基づいて福祉・介護職員等の特定処遇改善加算を創設しています。また、障害福祉人材の処遇改善については、これまでの累次にわたる処遇改善加算を通じた取組に加え、本年2月から福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金による引き上げの措置が講じられ、10月以降は臨時の報酬改定により同様の措置が継続されることとなっています。 スライド54、処遇改善に関わる全体のイメージです。福祉・介護職員の対象に新しい加算、福祉・介護職員などのベースアップ等支援加算を加え、事業所の判断により他の職員に処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることとしています。 続いて、スライド55、障害福祉のしごと魅力発信事業です。 目的は、障害福祉の仕事の魅力を伝え、障害福祉に対して抱いているイメージを変えて、障害福祉の職場の理解を深めるための障害福祉就職フェア等を行い、障害福祉分野への多様な人材の参入の促進を図る、そういったことを目的とした事業になります。福祉の人材を確保するための取組となります。 スライド56、ハラスメントに関する事業者向けマニュアルです。 人材確保にも関わりますが、障害福祉サービスの従業者の確保が困難になっている状況を踏まえ、人材確保に課題となっている要因などについて、職員の声や職場のハラスメントの状況を含めて、把握を図り、障害福祉サービス等事業所における人材の確保、定着方策の好事例を共有して人材確保をしていきましょうというものです。その一つとして、ハラスメントが課題として挙がっていますので、令和3年度の調査研究事業において作成したハラスメント対策マニュアルの周知を進めるととともに、事業所における職員研修のための手引き等を作成することで、利用者、家族等によるハラスメント対策を推進することとしていまます。 居住地特例に移ります。 スライド56、障害福祉サービス等の支給決定は原則として、障害者または障害児の保護者の居住地の市町村が行うこととされていますが、障害者が障害者総合支援法に規定する特定施設に該当する施設に入所した場合、施設所在や市町村の財政負担を軽減する観点から、その支給決定は施設入所前に者がいる市町村が実施する居住地特例が設けられています。介護保険施設等の入所者が障害福祉サービスを利用する場合、介護保険施設等市町村に障害福祉サービスに関する財政負担が集中する利用申請手続をするものが、介護保険サービスと障害福祉サービスで利用者の負担になっています。そこで、介護保険施設等の居住地特例を対象に追加することにしており、介護保険制度の住所地特例の対象施設、特別養護老人ホームなどと同様としています。 続いて、高齢の障害者に対する支援です。 スライド60、障害者の高齢化についてです。障害者の高齢化は増加傾向にあり、その割合は、身体障害者では、平成18年は62%で平成28年には74%、知的障害者は、平成17年は4%で平成28年には16%、精神障害者は、平成20年は34%、平成29年は39%と増加傾向にあります。 スライド61に移ります。介護保険のところでも触れましたが、日本の社会保障制度の体系は、あるサービスが公費負担制度でも、社会保険制度でも、提供されるときは保険料を支払って国民が互いに支え合う社会保険制度によるサービスをまず利用するという、保険優先の考え方が原則となっています。障害福祉制度と介護保険制度の関係についても、この原則に基づき、障害福祉制度と同様のサービスを介護保険サービスにより利用できる場合は、まずは介護保険制度を利用することとなっています。ただし、その運用にあたっては、一律に介護保険サービスが優先されるものではなく、申請者ごとの個別の状況を丁寧に確認して、介護保険サービスだけでなく、障害福祉サービスの利用も含めて、その方が必要とされている支援が受けられるようにすることが重要ですが、市町村によって運用の差違があるのが現状です。 スライド62、こちらは共生型のサービスの概要です。 共生型サービスは、介護保険サービス事業所が障害福祉サービス事業所の指定、または障害福祉事業所が介護保険事業所の指定を受けようとする際に、新たに指定を受ける場合にその基準を満たしていない場合でも、これまで提供してきたサービスと同様の基準により、2つのサービスの運営が可能となるよう特例を設けたものであり、報酬についてもこの考え方を踏まえて設定しています。そのメリットは、障害者が65歳以上になっても従来から利用してきたサービスの継続利用が可能になることや高齢者だけでなく、障害児・者も多様な利用者がともに暮らし支え合うことでお互いの暮らしが豊かになる等がメリットとして考えられます。 高齢障害者の介護保険サービスの利用負担を軽減する仕組みのスライドです。 障害福祉サービスを利用してきた方が65歳に到達したというだけで、利用者負担が増額してしまうことを解消するために高額障害福祉サービス給付品等により、利用者負担を軽減し1割を0に償還する仕組みになります。 スライド63、高齢障害者の介護保険サービスの利用者負担を軽減する仕組みです。障害福祉サービスを利用してきた方が、65歳という年齢に到達したというだけで利用者負担が増加してしまうという事態を解消するため、高額障害福祉サービス等給付費により利用者負担を軽減し、1割負担をゼロにする仕組みのことです。新高額障害福祉サービス等給付費じついては、希望する人が本制度を利用できるようにすることが重要で、地方自治体において、対象者等に制度概要を丁寧に説明を行うことや対象者要件を満たす者の把握については、必要に応じて介護保険部局と連携をすること等の取組が適切に行われるように周知することが重要です。なお、この制度の対象の方は介護保険サービスに相当する障害福祉サービス、居宅介護や生活介護などを65歳直前に5年以上、利用していた方や65歳以降も障害福祉サービスに相当する障害保健サービス訪問介護、通所介護などを利用する場合、障害支援区分が2以上、低所得者または低所得者、65歳に達するまでに介護保険の給付を受けていない者が対象となります。 続いて障害者の虐待防止についてです。 スライドの65、障害者の自立及び社会参加にとって虐待を防止することは、極めて重要です。障害者に対する虐待の禁止、国などの責務、虐待を受けた障害者の保護及び自立の支援のための措置などを定めた障害者虐待防止法が平成24年10月に施行されました。養護者虐待は警察からの通報増加、施設での虐待は管理者等からの通報の増加を背景に、相談・通報件数が増加傾向にありますが、虐待判断件数は横ばい傾向です。一方で、通報されたものの虐待と認定されなかったものは、判断が難しいといったところもあります。また、市町村の虐待かどうかを検査する体制を強化する観点から障害者虐待防止法に基づく立ち入り調査を基幹相談支援センターの職員も行えるようにという意見もあり、令和3年、事実確認調査は基幹相談支援センターに委託できること、立ち入り調査は市町村自ら設置する基幹相談支援センターの市町村職員の身分を有する者に限り可能といったことが自治体に周知されました。 スライド66、こちらは虐待状況の調査の経年グラフで表したものです。 令和2年の虐待件数は、黄色の数値のところで1768件、令和元年度は1655件ですので、増加しています。被虐待者の数は1775件です。 スライド67、こちらは障害福祉施設従事者等による障害者の虐待の件数です。 黄色のところ、スライド中段右側、障害者虐待の相談・通報件数は2865件で、令和元年度から増加しています。虐待判断件数は632件、同じく令和元年度から増加しています。被虐待者の数は890人で、年々増加しているということがわかるかと思います。市町村による障害者虐待の組織的な対応を徹底するために、障害者虐待の相談・通報の受け付け、事実確認を行う自治体職員に向けて虐待の通報、届出の初動対応方針の決定や、虐待の認定をするために管理職が参加するよう改めて徹底し、虐待の判断に迷ったり、事実確認不要と判断しやすい場合のとるべき対応や留意点をまとめることや障害者虐待防止対策支援事業(地域生活支援促進事業)により、自治体における弁護士や社会福祉士による助言体制を確保する取組について補助する仕組みを設けており、本事業の活用を通じて自治体における専門的な助言体制の整備を推進することとしております。 続いて地域生活支援事業に移ります。 スライドの69ページです。この事業の課題として事業ニーズは増大しているものの、予算額の伸びには一定の制約があります。自治体や当事者団体から予算の確保や障害者個人に対する事業の個別給付化を要望されている現状です。また、総務省から地方公共団体が地域の実情に応じて必要な事業を円滑に実施できるように適切な事業のあり方の見直しについての指摘を受けています。一方、個別給付は個別の明確なニーズに対応するものとして、指定事業者に関する基準や報酬額の基準を設けることにより全国一律な実施が求められていますが、様々な要因によって、個別給付の対象となりうる障害者等に対するサービスを地域生活支援事業が担っている場合もあります。 スライドの70、令和4年度の予算は518億円と令和3年度からは5億円増加しています。この地活事業のメニューについてはこの後触れますが、必須事業と、それぞれ自治体の状況に即して実施する任意事業に大別されます。今年度は地域生活定着支援センターとの連携強化事業の促進事業であれば、発達障害者の医療の拡充、医療的ケア児の事業を新しく拡充しています。 スライドの71、こちらがメニューになります。市町村事業で左が必須事業で、右が任意事業です。任意事業は、自治体の状況によって必要なメニューを選んで市町村が実施していきます。 次に、スライド72、これは都道府県です。先ほどのスライドと同じく、左に必須事業、右側に任意事業が記載されています。赤字のところが、任意事業の(2)相談支援従事者等研修事業や(3)サービス管理責任者研修事業が拡充されています。 スライド73、地域生活支援促進事業は、2019年度に新たに設けられました。スライドの記載のとおりのメニューがあります。 続いて、意思疎通支援に移ります。 スライドの75、障害者の情報・意思疎通支援については、円滑に必要な情報を取得・利用し、意思表示やコミュニケーションを行えるよう、意思疎通支援事業をはじめとする各種の事業等の実施により進めています。その代表的な事業として、都道府県及び市町村において、手話通訳や要約筆記などにより障害者などと、その他の者との意思疎通を支援する者の派遣やこれを担う人材の養成事業、意思疎通支援事業が行われています。意思疎通支援事業については、地域生活支援事業として、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態で実施されている一方、地域により事業のばらつきがあり、支援が必要な者に対して十分なサービスが行き届いていない等の現状があります。スライドの図は養成お流れを示しており、国が指導者を養成し、都道府県・市町村で養成研修を実施、市町村・都道府県で支援者の派遣等を実施、が流れです。 スライド76、こちらも事業の説明です。障害者等のICT機器利用支援事業は、ICTサポートセンターが設置されていない自治体もありますので、現在全国における実態調査等を行っているところです。障害者等への支援の把握をすることで、上手く機能していない自治体については、機能するように対応策が検討できるかと思います。 医療と福祉の連携についてです。 スライド78、医療的ケア児についてです。医療技術の進歩等を背景として、NICUなどの病棟に長期期間入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろうなどを使用しながら日常生活を送っている障害児が増加しています。このような障害児が医療機関を受診し、その指導の下に、痰の吸引などの医療的ケアを適時受けつつ、障害児通所支援事業や学校などにおいて、身体面の支援などを受けながら生活できるように、この間障害福祉サービス等報酬改定において、支援の充実が図られてきました。全国の医療的ケア児、(在宅)は約2万人です。なお、医療的ケア児とは、NICE等に長期入院した後、引き続き、人工呼吸や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことを言います。 スライド79、在宅医療ケア児者の現状です。 医療的ケア児は、医療的ケアが必要な成人と状態像が異なる点があります。現在の医療的ケア児に対しては、新たな状態像に対応した支援の検討が必要であり、また、小児期にある医療的ケア児の成人期への移行を見据えて、成人期の生活に対応した就労・住まいの場の確保等を含めた支援の在り方について中長期的な検討が必要とされています。 スライド80、こちらは、入退院時について医療と福祉の連携と報酬上の評価のイメージ図です。入退院時に医療機関と福祉事業者の連携、文書等による情報提供やカンファレンスの開催等の連携を推進するために、報酬上の評価を行っています。 スライド81に移ります。入院中の重度障害者に係る医療と福祉の連携のイメージです。入院時に重度訪問介護を利用する人は、重度障害者の受け入れに関する情報があれば、有用であることから、医療と福祉の関係者が連携して地域の医療機関情報をリスト化し、共有を図るということが必要とされています。 スライド82、重度訪問介護の訪問先の拡大です。四肢麻痺、寝たきりの状態にある最重度の障害者が医療機関に入院したときに重度訪問介護の支援が受けられなくなることから、体位変換など特殊な支援が適切な方法をとられにくくなることにより苦痛が生じてしまうことや行動上著しい困難のある方については、本人の障害特性に応じた支援が行われず、強い不安、パニックなどを起こして自傷行為に至ってしまう事例があります。そのため、最重度の障害の方でも、重度訪問介護を利用している者に対して、入院中の医療機関でも利用者の状態像を熟知するヘルパーを引き続き利用し、そのニーズを的確に医療従事者に伝達できるようにしています。 ここまでが、障害者総合支援法改正法案のもので、これから12月の国会で議論されることになります。 続いて、令和5年度障害保健福祉部予算概算要求の概要です。 スライド84、令和5年度の予算要求の概要です。 こちらは、現在厚労省のホームページに掲載されており、参考資料のスライドもありますので、関心のある方は、令和5年度厚生労働省障害福祉保健部予算と検索していただく該当ページを閲覧できます。 さて、令和5年度の概算要求は2兆147億円で、令和4年度から936億円増となっています。うち福祉サービス関係費、自立支援給付と地域生活支援業は、これも今年度から764億円増えています。こちらの予算額は子ども家庭庁移管分は除いた額になります。続いて主だったことを説明します。 スライド85、まず(1)です。このサービスの目的は障害児・者が住み慣れた地域に暮らすために必要な障害福祉サービスを総合的に確保するとともにサービス等利用計画の作成、見直しを行うための経費で、また、障害者施設、精神病院などに入院している障害者が地域生活に移行するための相談等を実施するための経費となります。障害福祉サービスの介護給付、訓練等給付がこれに当たります。 (2)地域生活支援事業の拡充で、531億円です。先ほど地活事業のところで、令和4年度の内容をお伝えしましたが、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態の事業を計画的に実施し、障害の有無にかかわらず、国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することがこの事業の目的となります。主な拡充内容ですが、意思疎通支援事業等の充実や地域活動支援センター機能強化事業の拡充、基幹相談支援センターなどの機能強化事業の充実などです。意思疎通支援事業の充実は、情コミュ法、障害者情報アクセシビリティーコミュニケーション施策推進法の成立しましたので、その動向を踏まえ、すべての障害のある方々が社会の様々な分野において必要な情報の取得や円滑な意思疎通を行うことができるように体制整備することが喫緊の課題となっていますので、手話通訳等に携わる人材の養成や手話通訳者、要約筆記者の養成・派遣など支援体制の充実を図ることとしています。 地域生活支援促進事業として14億円計上しており、その事業は、精神障害にも対応した支援の拡充、障害者ICTサポート事業の拡充などがそれに当たります。障害者ICTサポート総合支援推進事業は近年のデジタル技術の発展に伴いICT機器の利活用が進められる中、障害のある方のICT利用においてデジタル技術の進展に遅れることのないように支援の充実が大変重要で、都道府県などにサポートセンターの設置や地域におけるICT機器の操作支援などの体制を充実させることで、障害のある方のICT機器の利用機会の拡大や活用能力の向上を図ることとしています。令和3年度は、33都道府県に設置されています。 続いて、 (3)、障害福祉サービスの提供体制の基盤整備。概要は、障害者の社会参加支援、地域移行をさらに推進するため、地域移行を受け皿にグループホームなどの整備を促進するなど計画に基づくものです。また、障害者支援施設の安心・安全を確保するために、防災、減災、国土強靱化のための5カ年対策がありますが、それに基づいて耐震化対策、水害対策の強化、非常用自家発電設備の対策を推進することとしています。実施主体は社会福祉法人で、補助率は2分の1です。 スライド86、(7)障害福祉分野におけるICTロボット等導入支援、5.2億円です。ICTとロボットで予算が分かれています。ICTロボット等導入の目的は障害福祉分野におけるICT活用によって、障害福祉現場の業務効率化、職員の業務負担軽減を推進しながら安心・安全な障害福祉サービスを提供できるように、障害福祉サービス事業所等におけるICT導入にかかるモデル事業を実施することとなります。概要は、障害福祉現場の業務効率化、職員の業務負担軽減などを推進するため、ICTの導入を図っていくことになります。 続いてロボットの支援、2.7億円です。この目的は障害福祉の現場におけるロボット技術の活用によって、介護業務の負担軽減、労働環境の改善、生産性の向上などを通じて安心・安全な障害福祉サービス提供等を推進することを目的としています。概要は障害者支援施設などが介護負担軽減、労働環境改善、生産性向上を図るためロボット等の導入費用、また体験会を開催する費用について財政支援をすることになります。 続いて、(8)の虐待防止に6.2億円。虐待が減少しない状況ですが、障害者の虐待の未然防止、早期発見、迅速な対応、その後の適切な支援のため、地域における関係機関の体制整備、支援体制の強化を引き続き図ることしています。主だった事業の内容は、虐待時の対応のための体制整備については、例えば、専門職の確保、社会福祉士、弁護士による虐待対応専門職チーム活用の促進などです。2点目が連携協力体制の整備です。地域における関係機関、自治体や施設などの協力体制の整備・充実を図ることとしています。3点目が権利擁護に関する研修の実施です。障害福祉サービス事業所の従事者や管理者、相談窓口職員に対する虐待防止研修の実施に対する費用の支援等がそれに当たります。最後に普及啓発です。虐待防止法による障害者の虐待の通報義務、広報などの啓発活動ということで予算が組まれています。 続いて、(9)重度訪問介護などの市町村支援に13億円です。重度訪問介護等の訪問サービス系の利用において、国庫負担基準を超える市町村のうち、都道府県地域生活支援事業「重度障害者にかかる市町村特別支援」の対象外の市町村、及び当該事業を適用してもなお超過額ある市町村に対して、一定の財政支援を行って重度障害者の地域支援を支援する費用です。 続いて、スライドの87、障害者等の自立・社会参加支援の推進です。 (1)の芸術文化活動は、毎年、芸術文化祭を開催していて、その費用の助成等です。今年は10月に沖縄県で、芸術文化祭りが開催されます。 (2)障害者自立支援機器の開発等促進に1.7億円。障害者自立支援機器の実用的な製品化を促進するため、障害者のニーズと企業のシーズのマッチング強化や機器の開発企業に対する支援を実施し、障害者等のニーズを発掘し、課題解決のプロセスを習得するための事業を実施します。また、補装具の装用訓練やフォローアップ実施の推進に取り組む病院及びリハビリテーション施設の普及を促進することが目的です。 次は、(3)視覚障害者、聴覚障害者等への情報・意思疎通支援の推進です。情コミュ法の成立を踏まえて、視覚障害者・聴覚障害者などへの情報意思疎通支援を推進するため手話通訳者をはじめとする意思疎通支援従事者の確保やICT機器の利用支援などの取組、読書環境の整備をすることになります。その中の意思疎通支援従事者の確保事業には0.5億円計上し、意思疎通を図ることに支障がある障害者とその他の者を支援する意思疎通支援従事者の高齢化の影響での人材不足、近年のデジタル技術の進展に伴って、ICT機器の利活用が進められるなかで、専門的な知識を有する若年層の人材確保や、障害者のICT機器使用が急務となっており、若年層の手話通訳養成モデル事業の充実等、意思疎通支援従事者の確保を図ることを目的にしています。令和3年7月からスタートした、電話リレーサービスの通訳オペレーターは、手話通訳者と同等な資格や技能が有する者とされ、障害者差別解消法において、合理的配慮が義務づけられ、さまざまな分野において手話でコミュニケーションできる人材が求められていることもあります。そこで大学生などを対象とした養成事業を実施し、若年層の手話通訳者養成促進を図ることとしています。  続いて、視聴覚障害者情報提供施設の体制強化ということで、こちらも拡大する内容は点字図書館事務費の特別管理費、そのうちの情報化対策特別管理費の増額を図ることです。情報化対応特別管理費とは、書籍の点字化や映像の文字・手話化を行ったうえで視聴覚障害者が利用する際に、サピエによる配信やビデオの貸し出し等をするときに加算するものです。 視覚障害者総合ネットワーク、サピエは、0.9億円計上しています。管理するサーバのメーカーの保証期間が終了することから、更新にかかる費用を要求することになります。 スライド89、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築に8.4億円です。精神障害者が地域の一員として安心して自分らしく暮らせるよう、住まいの確保支援を含めた精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指すが目的で、心のサポーター養成事業、入院者訪問支援事業、製品化救急医療体制養成事業などがそれに当たります。 (4)の依存症の対策で、5年度は、9.9億円です。依存症は誤解や偏見があり、依存症と疑われる方やその数が相談等につながりづらく、十分な治療・支援が受けられていない課題があります。そのため、各地域における支援ネットワークの構築、人材育成、情報発信や依存症のための正しい理解や啓発のために情報発信を行うこととしています。 スライド89、(5)高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築の促進です。これは新規で2億円です。目的は、高次脳機能障害の医療と福祉の一体的な支援を普及・定着たせるため、高次脳機能障害の診断およびその診断に関する支援サービスの提供を行う定型医療機関や教育機関、就労支援機関や教育支援機関になりますが、明確化することが目的です。さらに地域の関係機関が連携を図って当事者やその家族に対して地域支援ネットワークを構築して切れ目のない支援を目的としています。 (6)てんかんに関して。てんかんに関する正しい知識の普及、地域連携体制の構築、図ることを目的に、国が国立精神神経医療研究センターを、都道府県においててんかんの治療を専門的におこなっている医療機関のうち、1カ所をてんかん支援病院として指定し、地域の医療連携体制の構築に向ける事業です。 スライド90、(9)新規ですが、実習指導者養成事業です。 公認心理師は、国民がかかえる心の健康問題が複雑化、多様化する中で、平成29年に公認心理師法が施行されました。令和5年度から公認心理師として5年の実務経験を満たすものが出てくることから実習の見直しや、養成の加速、こういったもののため必要な経費を要求するものです。 続いて3、発達障害児への支援施策推進です。 発達障害者支援体制事業整備。これは地活の促進事業になりますが、5.7億円を計上しています。目的は、乳幼児期から成人期における各ライフステージに対応した一貫した支援の提供を目的とした関係機関とのネットワーク構築、発達障害児への理解を求めるため、市町村、事業所、医療機関の連携や困難ケースへの対応をすることが目的です。 これが(1)。(2)は発達障害の初診待機解消に関する取組の推進、(3)は発達障害児・者とその家族への支援にそれぞれ予算をつけています。スライド91(4)は、発達障害者に関する理解促進及び支援手法の普及です。 4 障害者に対する就労支援の推進です。(1)雇用施策と福祉施策の連携により重度障害者等の就労支援に7.7億円。目的は、重度障害者への就労支援として、職場等における介助や通勤の支援を実施するということです。(2)工賃向上のための取組に7.1億円。就労継続支援事業所などの利用者の工賃、賃金向上を図るため事業所の経営改善などに支援、情報提供体制の整備、在宅障害者に対するICTを使った就業体制支援の構築や農福連携への取り組み支援を実施することが目的となっています。続いて(3)障害者就業・生活支援センター事業に8億円。目的は、日常生活面の支援をするために就業・生活支援センターに生活支援を専門に担当する職員を配置、職業生活の自立を図ることとなっています。 スライド92に移り、続いて(5)働く障害者の就労に伴う定着支援です。定着支援地域モデル事業において、地域における障害者の就業に伴う生活の支援ニーズの対応力を向上させるため、障害者就業・生活支援センターによる地域の就労事業支援事業所のスーパーバイズや、困難事例に対する個別支援等を通じた課題の把握などを行い、他の就労機関への情報共有、普及啓発を実施することで、地域のネットワークを強化することを図るのが目的です。 続いて、(6)障害者の能力や適性等に合った一般就労や就労系障害福祉サービスの選択を支援する取組の推進に、5000万円です。就労を希望する障害者が就労先や働き方を検討・選択でき、本人の特性を踏まえた就労支援の提供や就労を通じた知識、能力の発揮・向上につながるよう就労アセスメントの手法を活用して必要な支援を行う新たなサービス、これを就労選択支援(仮称)といいますが、創設を検討していくことになります。なお、就労アセスメントは本人の能力や適性を考え、本人と協働して就労に関するニーズ、強み、職業上の課題を明らかにして、必要な支援・配慮を整理します。 スライド93、予算の最後のスライドになります。東日本大震災等の災害から復興への支援に関することで、記載のとおりになります。 以上が令和5年度予算要求の概要となります。参考までに、こども家庭庁へ移管する予算は4728億円を計上しています。良質な障害児支援の確保、地域における障害児支援の体制、医療的ケア児への支援、聴覚障害者への中核機能の強化が主な内容です。 スライド95、最後になりますが身体障害者補助犬について説明させてください。身体障害者補助犬は、盲導犬や介助犬、聴導犬、3種の犬のことをといいます。視覚に障害者のある方や肢体に障害のある方、聴覚に障害のある方の生活や社会参加をサポートする役割を担っています。身体障害者補助犬法という法律がありまして、平成14年に施行され今年で20年経ちますが、補助犬法には不特定多数が利用する機関について補助犬を連れたユーザさんを拒否してはいけないと定められているのですが、同伴拒否事例が少なくならない現状があります。要因の一つに、そもそも補助犬を知らない人が多いこともあるか思います。補助犬の実働数が全国で1000頭弱であるため、街で見かけることもそんなに多くないかと思います。障害のある方はどうしても医療機関にかかる方が多いと思います。医療機関で断られてしまうと、医療を受けることができなくなっていまいます。飲食店や公共交通機関も同伴拒否されることが散見されます。補助犬はペットとは異なり、訓練されています。補助犬使用者の指示に従い、行動できるように訓練をされていますが、補助犬を知らないとどうしてもペットと同様に考えてしまう現状があるようです。このような現状補助犬法ができてからも少なくなることはないため、我々としては補助犬の普及に毎年努めているとことです。昨年は、Yahoo!ニュースに補助犬のバナー広告をしたり、新聞に突き出し広告等を行っています。皆様の中には、補助犬は多いと思いますが、知っている方が周りの方に広げていくことも補助犬の理解に繋がると思います。 スライドの96は、身体障害者補助犬法の概要ですが、同伴拒否については、第4章に不特定多数のものが利用する施設において、補助犬を断ってはいけないと明記されています。補助犬のことを多くの方に知ってもらって誰もが生活しやすい社会になるようにと、思っています。 私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。  質疑応答後 終了